教育訓練給付とは?保育士講座は給付でいくら戻る - 試験対策と養成課程の2ルート
教育訓練給付は、厚生労働大臣の指定講座を受けて修了すると、支払った受講費用の一部が雇用保険から戻ってくる国の制度です。保育士には2つのルートがあり、保育士試験の対策講座は一般教育訓練給付(給付率20%・上限10万円)、保育士養成課程の通信課程は専門実践教育訓練給付(最大80%)が対象になることがあります。給付率・受給条件・申請の流れを、厚生労働省・ハローワークの情報をもとに整理しました。
- 給付の3区分(一般 / 特定一般 / 専門実践)のちがい
- 保育士の2ルート(試験対策=一般20% / 養成課程=専門実践)で戻る金額の目安
- 受給条件と申請の流れ(専門実践は受講前の事前手続きが必須)
教育訓練給付とは(3つの区分の違い)
保育士は、試験対策の通信講座が一般教育訓練給付(給付率20%・上限10万円)、養成課程の通信課程が専門実践教育訓練給付(最大80%)の対象になることがあります。教育訓練給付は、指定講座を受けて修了すると受講費用の一部が雇用保険から戻る国の制度で、講座のレベルに応じて区分が3つあります。
給付の3区分と給付率・上限のちがい
保育士は講座により一般(試験対策)と専門実践(養成課程)に分かれます。
保育士は専門実践教育訓練給付(給付率50%、資格取得・就職等で70%、賃金上昇で最大80%)の対象が中心です。専門実践は受講開始前の事前手続き(訓練前キャリアコンサルティング・受給資格確認)が必須です。給付率・上限は区分や講座で異なります。特定一般の最大50%、専門実践の最大80%は、受講開始日が令和6年(2024年)10月1日以後の場合に適用される改正後の数値です。最新の区分・指定番号は厚生労働省 教育訓練給付制度 検索システムでご確認ください(出典: 厚生労働省)。
- 一般教育訓練給付: 給付率20%・上限10万円。保育士試験対策の通信講座の多くがこの区分です。
- 特定一般教育訓練給付: 給付率40%・上限20万円。資格を取得して就職等をすると10%上乗せされ、最大50%・上限25万円になります。
- 専門実践教育訓練給付: 保育士・看護師など中長期のキャリア形成向け。受講中50%(年間上限40万円)、資格取得・就職で70%(年間上限56万円)、修了後の賃金が5%以上上昇で80%(年間上限64万円)。保育士の養成課程(通信)がこの区分の対象になることがあります。
どの講座がどの区分に指定されているかは講座ごとに決まり、講座名だけでは判断できません。受けたい保育士講座の区分・給付率は、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで講座名や資格名を入力して必ず個別に確認してください(教育訓練講座検索システム)。
保育士の2つのルート(試験対策と養成課程)
保育士の取得には、保育士試験に合格するルートと、養成課程を卒業して受験を経ずに資格を得るルートがあり、給付の区分も金額も大きく違います。
- 試験対策ルート(一般20%): 通信講座で保育士試験の対策をするルート。受講料は数万円が中心で、一般教育訓練給付(20%・上限10万円)が対象です。安く始められる一方、保育士試験に自分で合格する必要があります。
- 養成課程ルート(専門実践): 指定保育士養成施設の通信課程を修了して、試験を経ずに保育士資格を得るルート。受講料は高め(数十万円台)ですが、専門実践教育訓練給付(最大80%)が対象になる課程があり、給付率が高い分、戻る金額も大きくなります。スクーリングや実習を伴います。
選び方の目安: 早く安く試験合格を目指すなら試験対策ルート、未経験から確実に資格を取りたい・学歴ルートで取りたいなら養成課程ルートが向きます。
当サイトのランキングは、この2ルートの講座を給付後の実質自己負担(受講料 − 給付額)で並べています。受講料の水準が大きく異なるため、金額の安さだけでなく、自分の目的に合うルートかを前提にご覧ください。
給付額の目安(区分別の給付率・上限額)
支給される額は区分と対象経費で決まります。試験対策が対象の一般教育訓練給付では対象経費の20%(上限10万円)、養成課程が対象の専門実践教育訓練給付では最大80%が、修了後に支給されます。
給付額の目安 — 例: 保育士 試験対策(ユーキャン 受講料64,000円・一般20%。養成課程は専門実践 最大80%)
受講料64,000円から一般教育訓練給付(給付率20%)の12,800円を差し引いた実質自己負担額の目安です。給付率・支給可否は受講する人の要件で変わります。金額は講座・時期で異なるため、最新の受講料・給付対象は各スクール公式でご確認ください(出典: 厚生労働省 / 取得日 2026年6月10日)。
- 一般: 対象経費の20%・上限10万円(20%相当が4,000円以下は不支給)。
- 特定一般: 40%・上限20万円。資格取得・就職で最大50%・上限25万円。
- 専門実践: 受講中50%(年間40万円)→70%(56万円)→80%(64万円)。最長3年・10年通算で上限192万円。
特定一般の最大50%、専門実践の最大70%・80%は、いずれも受講開始日が令和6年(2024年)10月1日以後の場合に適用される改正後の数値です。
受給条件(雇用保険の加入期間・離職後の期限・再利用の間隔)
受給には雇用保険の加入期間(支給要件期間)が一定以上必要です。在職中の方も対象です。
受給条件のチェック
- 雇用保険の加入期間が原則3年以上(初回2年以上)専門実践教育訓練給付は、初めて利用する場合は2年以上で対象になります。
- 離職している場合は離職後1年以内受講開始日が、離職日の翌日から原則1年以内であること。
- 前回の受給から3年以上あいている過去に給付を受けた場合は、前回受給から受講開始日の前日まで3年以上の間隔が必要です。
受給には複数の要件があり、ここでの記載は目安です。加入期間の数え方や延長などの例外、最新の条件は受講する人の状況で変わります。確実な判定は、住所地を管轄するハローワークおよび厚生労働省 教育訓練給付制度でご確認ください(出典: 厚生労働省・ハローワーク)。
在職者は、受講開始日に雇用保険の被保険者で、支給要件期間が原則3年以上(初めて利用する場合は1年以上)あることが必要です。専門実践は初めての利用で2年以上です。
離職者は、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)から受講開始日までが原則1年以内であることが条件です(適用対象期間)。妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで30日以上講座を始められない場合は、その日数分だけ延長でき、離職日からの合計で最大20年まで延長できます(ハローワークの案内では延長で加算できる期間を最大19年と表記)。
延長には手続きが必要です。
申請の流れ(一般は修了後の後払い・専門実践は事前手続きが必須)
申請手順は区分で大きく異なります。試験対策が対象の一般教育訓練給付は事前手続き不要・修了後の後払い、養成課程が対象の専門実践は受講前の事前手続きが必須です。
申請の流れ(専門実践教育訓練給付)
- 受講開始前に事前手続き(必須)受講開始の原則2週間前までに、訓練前キャリアコンサルティングを受け、ハローワークで受給資格確認の手続きをします。これを行わないと給付を受けられません。
- 受講を開始する対象講座(指定番号あり)で受講を始めます。受講中は原則6か月ごとに支給申請の機会があります。
- 修了し、資格取得・就職等修了で50%、資格取得し就職等で計70%、就職後に賃金が上がると最大80%が段階的に支給されます。
- 各期限内にハローワークへ申請支給単位ごとに期限内に申請します。書類とマイナンバーカード等が必要です。期限に注意。
専門実践教育訓練給付は、受講開始前の訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認の手続きが必須で、これを欠くと受給できません。手続きの詳細・必要書類・期限は厚生労働省・ハローワークでご確認ください(出典: 厚生労働省)。
一般教育訓練給付は、受講料を一旦全額自己負担で支払って受講・修了し、スクールから受け取った書類(支給申請書・修了証明書・領収書・教育訓練経費等確認書など)を使って、修了日の翌日から原則1か月以内に住所地を管轄するハローワークへ支給申請します。マイナンバーカード等も必要です。
審査後に給付金が指定口座へ振り込まれます。
養成課程が対象の専門実践教育訓練給付(および特定一般)は、受講を始める前に次の事前手続きが必須です。
- 訓練前キャリアコンサルティングを受ける
- ジョブ・カードを作成・交付してもらう
- 受講開始日の2週間前までに、住所地を管轄するハローワークで受給資格確認を行う(専門実践は原則6か月の支給単位期間ごとに分割申請)
2024年2月1日以降は、支給申請・受給資格確認が窓口に加えて電子申請(e-Gov)・郵送・代理人によっても行えるようになりました(個人の電子署名は不要)。
保育士講座での適用例(試験対策20% / 養成課程は専門実践)
試験対策ルート(一般20%)はわかりやすい後払い、養成課程ルート(専門実践)は給付率が高く戻る金額も大きいのが特徴です。
- 試験対策 5万円(一般20%): 1万円が支給されます(実質自己負担 約4万円)。
- 試験対策 8万円(一般20%): 1.6万円が支給されます(実質自己負担 約6.4万円)。
- 養成課程 77万円(専門実践70%): 約54万円が支給されます(実質自己負担 約23万円)。受講中50%+資格取得・就職で70%まで。
一般教育訓練給付(試験対策)は受講前のハローワーク手続きが不要で、受講料を自己負担で払って修了後に申請する後払いです。専門実践(養成課程)は受講前の事前手続きが必須で、原則6か月ごとに分割して支給されます。
こういう人向け: 受講料を抑えて保育士試験の合格を目指したい方は試験対策ルート、未経験から確実に資格を取りたい方は給付率の高い養成課程ルートを検討する価値があります。
講座費用と給付額を見比べると、実質的な自己負担を抑えやすい選び方が見えてきます。各保育士講座の料金と給付を反映した実質自己負担の比較は、当サイトのランキングで一覧できます。
よくある質問
自分が教育訓練給付の対象者かどうか、どうやって確認できますか?
雇用保険の加入期間(支給要件期間)が条件を満たすかで決まります。一般教育訓練給付は、在職者の場合は受講開始日に雇用保険の被保険者であり支給要件期間が3年以上(初めて利用する場合は1年以上)あること、離職者の場合は離職日の翌日から受講開始日までが原則1年以内で支給要件期間が3年以上(初回は1年以上)あることが条件です。専門実践は初めての利用で2年以上が必要です。自分が対象かどうかは、受講開始前に「教育訓練給付金支給要件照会票」を本人確認書類とともに住所地を管轄するハローワークへ提出すれば事前に照会・確認できます。確実な判定はハローワークでの照会で行ってください。
在職中でも教育訓練給付は使えますか?
使えます。教育訓練給付は、受講開始日に雇用保険の被保険者(在職中)である方も対象です。在職者の場合、雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて利用する場合は一般・特定一般は1年以上、専門実践は2年以上)あることが必要です。
保育士試験対策の講座と、養成課程の通信課程では給付が違いますか?
違います。保育士試験対策の通信講座は一般教育訓練給付(給付率20%・上限10万円)が対象になることが多く、受講料も数万円が中心です。一方、指定保育士養成施設の通信課程は専門実践教育訓練給付(受講中50%・資格取得就職で70%・賃金上昇で最大80%)の対象になる課程があり、受講料は高めですが給付率が高く戻る金額も大きくなります。どちらの区分かは講座ごとの厚生労働大臣の指定で決まるため、教育訓練講座検索システム(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)で個別に確認してください。
退職(離職)した後でも対象になりますか?
対象になります。離職者の場合、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)から受講開始日までが原則1年以内であり、かつ支給要件期間が条件を満たすことが必要です。なお、妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで講座を始められない事情がある場合は、この期間を最大20年まで延長できることがあります。自分のケースが該当するかはハローワークで確認してください。
給付金はいつ・どのように支給されますか?(後払いですか?)
後払いです。教育訓練給付金は、講座の受講を修了した後に支給申請を行い、それに基づいて支給される仕組みで、受講前や受講中に前払いで受け取ることはできません。一般教育訓練給付(試験対策)の場合、受講修了日の翌日から起算して原則1か月以内に、住所地を管轄するハローワークへ支給申請します。専門実践(養成課程)は受講前の事前手続きが必要で、原則6か月の支給単位期間ごとに分割して支給されます。審査後に給付金が指定口座へ振り込まれます。
保育士の講座ではいくら支給されますか?どのコースが給付対象ですか?
保育士試験対策の通信講座の多くは一般教育訓練給付の対象で、その場合は支払った教育訓練経費の20%(上限10万円)が支給されます(20%相当が4,000円を超えない場合は不支給)。養成課程の通信課程は専門実践教育訓練給付の対象になる課程があり、最大80%まで支給されます。どのコースが対象か・給付率は、講座ごとに厚生労働大臣の指定を受けているかで決まります。受けたい講座が給付対象か、給付率はいくらかは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)で講座名や資格名を入力して個別に確認してください。
独学と給付対象講座では、費用面でどちらが有利ですか?
教育訓練給付は、厚生労働大臣の指定を受けた講座を受講・修了した場合にのみ支給されます。市販テキストでの完全な独学や、対象として指定されていない講座は給付の対象外です。一般教育訓練給付の対象講座であれば修了後に受講費用の20%(上限10万円)が戻るため、対象講座と独学の実質負担を比べるには、講座費用から給付額を差し引いた金額と、テキスト代などの独学費用を見比べる必要があります。給付には支給要件期間や修了などの条件があり、未修了など条件を満たさないと支給されない点も考慮してください。どの講座が対象かは教育訓練講座検索システムで確認できます。
申請を忘れた・期限を過ぎたらどうなりますか?
一般教育訓練給付の支給申請は、受講修了日の翌日から起算して原則1か月以内に行う必要があります。この申請期限を過ぎると、原則として給付金を受け取れなくなる可能性があります。やむを得ない理由がある場合の取り扱いを含め、期限を過ぎてしまった場合や申請を忘れた場合は、自己判断せず、できるだけ早く住所地を管轄するハローワークに相談してください。
出典
- 厚生労働省 教育訓練給付制度(給付率・上限額・2024年10月改正)
- ハローワークインターネットサービス 教育訓練給付金(支給要件期間・離職後期限・再利用間隔)
- 厚生労働省 Q&A~一般教育訓練給付金~(対象者・在職/離職・後払い・申請期限・4,000円要件)
- 厚生労働省 専門実践教育訓練給付金のご案内(最長3年・10年通算上限192万円・80%/年間上限64万円)
- 厚生労働省 特定一般・専門実践 事前手続き(訓練前キャリアコンサルティング・ジョブ・カード・受講開始2週間前までの受給資格確認)
- 厚生労働省 一般教育訓練給付 支給申請手続きのご案内(必要書類・2024年2月1日以降の申請方式)
- 厚生労働省 教育訓練講座検索システム
- ハローワークインターネットサービス 支給要件照会の案内
本ページの注意事項・補足(給付率・要件の留保)
本ページの給付率・上限額・受給要件は、確認日(2026年6月10日)時点の厚生労働省(mhlw.go.jp)およびハローワークインターネットサービス(hellowork.mhlw.go.jp)の一次情報で裏取りした値です。次の点に留意してください。(1)保育士は試験対策の通信講座が一般教育訓練給付(20%・上限10万円)、養成課程の通信課程が専門実践教育訓練給付(最大80%)の対象になることがありますが、個別の講座がどの区分に指定されているかは講座ごとに異なり、本ページでは制度の一般的な解説を行っています。受講予定の講座は必ず厚生労働省の教育訓練講座検索システムで個別確認してください。(2)特定一般の最大50%、専門実践の最大70%/80%への上乗せは、受講開始日が令和6年(2024年)10月1日以後の場合に適用される改正後の数値です。それ以前の受講開始では旧給付率が上限になります。(3)専門実践の通算上限192万円は、年間上限64万円の単純な3年分ではなく、10年間に複数の専門実践講座を受けた場合の合計の上限です。(4)適用対象期間の延長上限は、ハローワークの案内では延長で加算できる期間が最大19年・離職日からの合計で最大20年と表記されています。(5)給付率がかかるのは受講料等の対象経費であり、テキスト代・受験料・実習費など対象外の経費区分があります。対象経費の範囲は講座・年度で扱いが変わることがあります。(6)制度は年度ごとに改正される可能性があるため、金額の確定判断や申請の前に、必ず厚生労働省・ハローワークの最新情報を再確認するか、住所地を管轄するハローワークに照会してください。なお本ページは制度の一般的な解説であり、個別の受給可否を保証するものではありません。